ライモン君の診察日

ライモン君は今日は久しぶりの健診日です。以前は病室で毎日診察していましたが、今は間隔がだんだん広くなってきて、１０日に１度くらいです。

先週の検査結果も出ていますから、今後どうするかの相談もあります。検査結果は、かなり良くなってきていて、これならもう少ししたら、退院出来るのではないかと言う結果です。

それを聞いてライモン君は、何だか浮かない顔なのです。此処でのセージ君との再会や、巡り合った人たちが魅力的で、離れがたくなっているのです。
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ライモン《本当に何処も問題がないんですか？

Dr.ローソン《もともとの先天的なものは直らないけれどね！気をつけて暮らせば、今のところは問題無く暮らせると思う状態だよ。

重い物持ったり、注意した運動以外は、問題ないようだよ。あまりストレスの多い事さえなければね。疲れすぎない様にして居れば、大丈夫だ思うよ。

多少のストレスは、まったく無いと却ってよく無いからね。

Dr.ターナー《退院するってのに、嬉しそうじゃぁないな。問題があるのかな？
君はそこそこ健康体だよ。注意点さえ守って暮らせば、普通に暮らせるよ。

もちろん仕事も、デスクワークだろうからね。適度に運動をしてな！

ライモン《そんなぁ～。それでは僕はどうなるんですか？退院？

Dr.ローソン《そうだねぇ、念のために後１週間くらいで、迎えに来てもらって退院だよ。帰国したら好きに暮らせるんだよ。やりたいことも色々あるだろう？

ライモン《僕は、出来たらもう少し此処に居たいんだけれど....だって帰国しちゃったら、もうセージ達と自転車乗ったり出来なくなるしぃ....　子供みたいだけれど。

Dr.ローソン《よっぽど楽しかったんだね？

ライモン《そうですよ。本当に楽しい時間だったけれど、先週は検査で逢えなかったし.....

リヴェール教授《しかし、ここまで良い結果になったのなら、君の場合は帰国したら、又仕事が有るだろうしね。

もう遊んでいる年齢でもないでしょう？公務的な事もあるでしょうしね。

クランベリー《長期休暇になったら、遊びに来れば良いじゃぁないの！自家用機で来られるのでしょうし、あなたなら入国許可は直ぐ下りるわよ。

Dr.ターナー《そうだね。長期休暇は半年ごと位にあるんだから、その時に又検査ということで入国許可をもらえばよいだろう？

あの自転車は、ちゃんと仕舞わずに置いておくし、君の会員証は有効にしておくからな。

リヴェール教授《そうですね。そう言うことにしておけば、良いのではないですか？気に入って頂いて、良かったですよ。

クランベリー《きっと、セージ達も楽しみに待っているわよ。病気でなく元気な顔を見せてくれるのをね。

ライモン《それは、僕も皆と遊べるくらいの健康を保っていたいですよ。本当に楽しく過ごさせてもらったし、ミントやマルにも逢えたしね。

Dr.ローソン《幾つかの注意事項さえ守って、健康管理していれば、今の所は問題なく過ごせますからね。不思議な事に心臓疾患の患者さんは、心臓だけ悪くて、後は丈夫な方が多いんですよ。　ご長寿な方が多いんだよ。

ライモン《そうですかぁ～ふ～う！

Dr.ターナー《おいおい、問題なく退院でそんなにがっかりした顔する患者は初めてだぞ！

Dr.ローソン《Ahahaha、、、、本当だね。

リヴェール教授《半年事の休暇は療養ということで、入国出来るようにしますから、くれぐれも無茶したりしないようにね。

クランベリー《そうよぉ～。でもセージ達もがっかりしちゃうんじゃぁないの。長期休みには健診がてら遊びに来たら。

ライモン《そうですよね。元気じゃぁ無ければ、此処に来ても遊べませんからね。

Dr.ターナー《そんなに楽しかったかい？どうでも良い雑談しただけだろう？あぁ、後は自転車組み立てたかな・笑

Dr.ローソン《リハビリなどは、面白くもなかっただろう？でもキチンとやって優等生だったって、セラピストが言っていたからね。

ライモン《リハビリはけして楽しいものではなかったけれど、カイザーさんはとても良い人で僕は好きですよ。

Dr.ターナー《ウッディセラピストは愛想が良いし、女性からはモテ男なようだな。でもカイザーセラピストは、愛想もなにもないんだけれど、彼が良いという人も多いですからね。相性もあるんでしょう。

リヴェール教授《そうだねぇ～。相性というのも大事な要素なんだよねぇ～。

クランベリー《先生の顔見ただけで、治って来たって言う人も居ますからね。

Dr.ターナー《まぁ此処の病院の会員になれたから、セージにも逢えて、エルダーとも友達になったのも、楽しくてリラックス出来たのがよかったんだろうね。

リヴェール教授《そうだよねぇ～やっぱり仲の良い気心知れた友達と遊べるのは特効薬でもあるよね。病は気からって言うからね。

セージも今は忙しいし、最愛の妻と過ごす時間が欲しいから、シングル同士のようには行かないだろうけれどね。

クランベリー《本当にね！セージはもう仕事が終わったら、さっさと帰ってしまいますものね。サイクルクラブだって、半日出て行くようになったと思ったら、半強制的にSugarに薦められたんだそうよ。

“趣味の友達と遊ぶのは、きっとセージの為になるから、半日くらい遊びに行きなさい”って言われたそうよ。もう散々遊んだんですけれどね。

ライモン《良い奥さんだよねぇ～。なかなかそんな事言ってくれる奥さんて居ないんじゃぁないの？散々遊んだって言っても、１５～６歳のほんの子供の遊びだよ。

Dr.ローソン《そこがね、凄い歳の差婚の良いところだろうね。まだ若い男性には、少し遊ぶ時間もあるのは必要だね。ちゃんと彼女はわかっているんだよ。

セージは多分本当は、くっついて居たいんだろうけれどね・笑　やっと此処に来て、休みの日などは、ゆっくり休めるようになってきたんだろうからね。

Dr.ターナー《でも、仕事以外の場での友達付き合いも、確かに大事だからね。仕事中に雑談できるけれど、全く違う時間だからね。

セージはまだ遊びも、学ばないとならない年齢でもあるからな。若いんだよなぁ。

リヴェール教授《うーん、そうかもしれないなぁ～。僕も勉強も仕事も忙しくて、早い目に結婚したから、マリアンヌと夫婦でいるけれど、そうでなかったら、逢う時間もあまりなくて、別れていたかもしれないなぁ。

夫婦でも恋人同士でも、共に過ごす時間が少ないのは、良いことではないと思いますよ。やっぱり続けるには、かなり２人で努力しましたからね。

クランベリー《ライモン君も良い人が見つかると良いわね。そして、休日には、此処に遊びに来られる様になるとよいわね。でも世の中がどうなるのかよねぇ。テロも相変わらず心配がありますしね。

ライモン《そう簡単には、以前のようにはならないと思いますよ。少し落ち着くかと思いましたが、今は絶えず何処かで紛争が起きていて、収まるかと思うと、どこかに飛び火してという感じですからね。100％心配がないとは言えませんからね。

うちの国みたいな小さな国が、かろうじてひっそりとしているという感じですかね。

Dr.ローソン《ここも、それ以上に小さな国ですし、周囲の国の人達にも、支えてもらって何とかという感じですからね。

凄く不便な国で、あるのは知識欲だけで、他にはなにもないからなぁ。しかし、万が一何か狙われて失っても、知識が有れば、再開は可能だからね。

ライモン《図書館に行きましたが、利用者が沢山居るんですね。よく勉強していますし、本が財産ですね。なかなかあれだけの本は、揃えられませんよね。

地下３階まで図書館なんでしょう？

Dr.ローソン《そうですよ。皆このデジタル社会ですが、本をよく読みますよ。ノートもよくとりますしね・笑　一瞬に消去されてしまう事がありませんからね。

ライモン《それは素晴らしい事ですね。僕はあまり頭の良い方ではありませんが、大事なことだとは判りますよ。僕の国もそのような国になると良いのですが、個々にはやっているかもですが.....提案してみましょう。

Dr.ローソン《この国は最初から、約束事ですからね。ねを上げて移民をやめた人もかなり居ますよ。最初の３年間くらいで、自然に篩いにかけられます。

学生もね成績が悪くてでの、ドロップアウトは居ないんじゃぁないかな？不便で何もない暮らしや、勉強以外寝る時間だけの、孤独感が耐えられなかったんだよ。

ライモン《なんでもないような事ですが、過去の不便な国に、先進国の人が戻るのは大変ですよね。30年くらい昔ですか？

Dr.ローソン《そう言っていたんだけれどね。

リヴェール教授《もうちょっと欲張って、40～50年くらい戻せるかな?と思っているんだよね。

物に寄っては40年昔に戻っても、何の不便も無いと思うんだよね。PCだけは残してね。まぁ、僕の母国は他の国よりもつましく、発展はあえてさせない暮らししているからね。だから、馬鹿にされるんだけれどね・笑

まぁこれも考えれば、家庭用の皆が使っているのは、昔のPCで十分だと思うんだよね。それに現実国内だけで使えるネットワークの、コンピューターを開発しているし、普通のコンピューターと使い分けているからね。

Dr.ターナー《Ahahaha、、、それだったら、PCなんていらないんじゃぁないですかね。国内だけの事なら、この小さな国ですから、図書館あたりで会って話すなり、本を読んで調べものすればよいんだから！

只、協賛国などとの連携を取るのには、特殊なものは必要だけれどね。ライモン君はとりあえず１週間後くらいで、都合の良い日に退院ということですね。

ライモン《判りました。国に連絡をしますので、教授の方に連絡が入ると思います。MRSのブレスレットは付けてくれるんですよね。

Dr.ターナー《あぁ、セージに作らせているよ。あれは外せないからね。
　　　　

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ライモン君は、問題無しの結果に、喜ぶはずなのに、あまり嬉しそうな表情ではありませんでしたが、

具合が悪いのは直って、本当は嬉しいのですが、帰国はとても寂しくてがっかりなのです。
セージ君たちに逢えて、こんなに幸せな気分になるとは思いもしなかったのです。病気が良くなったから、皆で自転車に乗って遊んだり出来たのですが、初めての経験です。たかが自分で自転車を組み立てて、乗るだけがあんなに楽しい事だとは、思いもしなかったのです。

気のせいかライモン君は、ちょっと病室に戻る足取りが重くなりました。まるで、不治の病を宣告されたかの様な雰囲気です。でも取りあえずは帰国する前に『MRS』を装着してもらって、帰国です。