ライモン君は帰国の迎えが来て静かに退院です。

ライモン君は、ひと目あって帰国したかったのですが、お迎えの彼の秘書は、情け容赦なくそのまま帰国だと言うのです。“女々しく別れなど惜しんでいないで、さっさと帰国したら、やることは幾らでもありますから！もう子供ではないのですからね。”ときっぱりと言うのです。

リヴェール教授たちは、ちょっと可愛そうに思いましたが、確かにそうとも言えるので、簡単に挨拶してお見送りです。一応最後のお茶をCafeで飲んで、飲み終わったらお迎えの飛行機に搭乗です。

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ライモン《あぁ～ぁ、何だかあっという間だったなぁ～。“オーストリアの病院で半年くらい静養して!”って言う話だったんだよ。

エーデル秘書《それでも、今のライモン様のお顔色は健康的ですし、気をつけて暮らせば大丈夫と言う事なら、帰国していただかないとですよ。

ご家族その他が、皆様お待ちかねですからね。

リヴェール教授《ご両親などは心配なさっておいでだったでしょうね？

ライモン《でも、直ぐに死ぬ訳ではないんだしね。胸の苦しいのが収まったら、もう中途半端な状態でさ。

最初は疲れるから寝ていたけれど、その後は最低半年くらいは療養所に行くように言われたから此処でもその位かと思っていたのに....

で、ふっと思い出したんですよ。フランネル財団の次期会長に会った時の事をね。あの次期会長も、心臓には心配があるから、教授からいただいたMRSのブレスレットが凄く心強いってね。

で、この国の病院にってお願いしたんですよ。そのブレスレットの開発者が、知っている名前と同じだと思ったので、もしかしたら僕の友達だったセージではないかってね。

エーデル秘書《無理申し上げてしまいまして....絶対に此処でなければ、療養には行かないと申しまして！あまりに頑固に言うので、ご無理申し上げて...

リヴェール教授《この世情ですからね。新規の患者さんは受けつけないことにしたんですよ。皆さん引き立ててくださるのですが、これ以上手は広げないつもりですしね。

忙しい時は、“皆で手分けして経営していきたい”と言う意見が圧倒的多数だったものですから、お断りして失礼しました。

Dr.マリアンヌ《フランネル財団の次期会長には、お世話になっていますから、今回だけはお受けしたのですよ。

将来的には、けしてお互いに悪い事は無いからとおっしゃるのでね。

Dr.マリアンヌ《暫くして、サイバー問題の情報を頂いて、うちも緊急で強化することに致しましたのよ。

Dr.ターナー《暫くはバタバタしていましたよね。まぁやるだけやったら、うちは又地味にアナログ化対策の方も、進めましたからね・笑

ライモン《知り合いの由緒あるホテルなどは、まるで中世に戻ったかのように、変えて営業ですよ。営業不振になるかと思ったら、全然変わらずというより、以前より評判が良くなり、口コミの固定客が増えたというのが、流石ヨーロッパだなぁ～と思いましたよ。

エーデル秘書《わが国でも、主要な部分では対策を取り始めているのですよ。

全部という訳にはいきませんけれどね。若いライモン様にも、色々な外交的な仕事もあります。各国の次世代の方たちとの話には、若世代の参加は必要ですからね。

皆さん古い物と新しい物の狭間で工夫されていますからね。

リヴェール教授《若い世代の方が、頭が柔らかいのでしょうな。ここでも、何の抵抗も無く過去の物を新しい物として、学んでくれていますよ。

非常に興味深いことのようですな。われわれは過去の遺物と思いやすいのですが、過去を知らない若者達には、新しい知識ですからね。

この国の若者の自慢したい所ですよ。興味を持って、取り組んでくれています。

ライモン《今回は帰りますけれど、長期休暇の時は、定期検査入院と言う事で、こちらで静養させてくださいね。

エーデル秘書《他に行ってパーティで毎日公用と称して、毎晩遊んでいるよりは、体に良いでしょうからね。それはそれで、ライモン様はお顔が広いですから、必要な事なのですが、よく脱線もいたしますからね。

リヴェール教授《若いのですから、多少は目をつぶるしかないですな・笑

エーデルさんはひやひやしながらですな？

エーデル秘書《まぁ、お小さい時から側に居ますからね。複雑な気持ちの時もございますよ。同じ年頃の息子がおりますので、遊び友達と言う事で、お側に何時もいるのですけれどね。

仲が良いのは宜しいのですが、ライモン様が良からぬ事をした時には、伝えてくれないと困るのですが、大人になってきましたら、だんだん私に言わなくなりましてね。

リヴェール教授《ライモン君も巧いこと見方につけてしまったのですね？Ahahaha、、、、それは素晴らしい手腕を持っていらっしゃる。

そのような知恵も必要でしょう。特に上に立つ物は、時には清濁併せ持たないと、人を巧く動かすことは出来ませんよ。

ライモン《そうですよね。時には見なかった振りは大事なことですよ。小さな子供ではないのですから、ワイスは頭が良いから、その辺りは良く心得ているんです。

本当はエーデルの息子だから、嫌なんですけれどね。若かった昔は、嫌な奴だと思っていたんですよ。仲が良かったのに、彼も若かったから、何でもエーデルに伝えてしまうスパイみたいな奴と思っていたんだけれどね。

エーデル秘書《やはりティーンの頃は、男の子は扱いにくいですからねぇ～。

自分の息子さえ解らないのに、ライモン様の考えていることなど、何処まで立ち入ったらよいのかですよ。ご両親は私に任せきっていらっしゃったのでね。

リヴェール教授《Ahahaha、、、どんなに可愛い子でも、一番嫌な時期でしょうなぁ～。僕は子供が居ないので、子育ての苦労はしていませんが.....

子供が居ない責任が重かったですね。

ライモン《ここはDr.ターナーが又素敵な先生でね。僕が良くなっていったのは、Dr.ターナーがストレスを感じないよう、色々な治療をしてくれたんですよ。

いや、してくれたんで無く、病気のことに関しては、放って置いてくれたんですよ。

退屈してうんざりしていた時には、外に連れ出してくれたり、セージに声かけてくれたりしてね。

反面凄く厳しくリハビリなどやらされたけれど.....。

エーデル秘書《ライモン様満足なさったのなら、帰ってからも言われた事は、キチンと守って下さいよ。

リヴェール教授《まぁ、生活自体を見直して、ほどほどのところで、様子見ながら暮らしてください。ストレスが一番よく無いですからね。

次に長期休暇で見えるときには、セージに言って、ブレスレット型のMRSを作らせておきますからね。間に合わなくて申し訳ない。

かなり手間がかかるもので、急ぎの仕事もあったものですからね。今は彼は少し急ぎの開発品に取り掛かっていますからね。
医療用のと違って、あのアクセサリーのようなのは、作るのに手間と時間がかかるようですからね。

ライモン《あれはね、きっとそうだと思いますよ。洒落ていて、すごく素敵なんですよね。

医療用のウエアラブルデバイスだなんて、思わないですよ。医療用は此処で暫く着けましたが、何だか病人って気分になってしまいますからね。

Dr.マリアンヌ《似たようなのも、今は市販されたりしていますが、全然性能が違いますからね。本人はまだまだ、研究対象にしたいようなのですけれどね。

エーデル秘書《精密機器は、わが国でも盛んにやっていますけれど、又ちょっと違うものですよね。今後とも色々よろしくお願いいたしますね。

リヴェール教授《いやいや、こちらこそこれをご縁に宜しくお願いいたします。

Dr.マリアンヌ《今後チャンスが有りましたら、共同研究とかしても良いですよね。持ちつ持たれつで！この国は『お互い様精神』が標語なんですよ・Ohoho、、、

Dr.ターナー《もう、ライモン君はリハビリ兼ねて、俺のプロジェクトの遊び仲間が出来たから、シークレットも何も無いですね・笑

ライモン《大丈夫ですよ。言って良い事か悪いことか位は、僕は一応理解しているつもりですから！彼らは僕を信用して、受け入れてくれたんですからね。

エーデル秘書《私がお約束いたしますよ。ご無理言って、療養させていただいたのですから、こちらこそ今後とも宜しくお願いいたします。

リヴェール教授《エーデルさんはライモン君とは、ご親族ですか？幼いときから見ていらしたと言われていましたが！

ライモン《母方の親戚なんですよ。母とは仲が良かったそうで...。

エーデル秘書《はい、お互いが母方ですから、姉妹のように付き合っていましたのよ。ですから、ライモン様の事を頼まれました時は、どうしたものか迷いました。

仕事が絡んできますと、ややこしい付き合いになってしまいますでしょう？巧くいくとは限りませんからね。

リヴェール教授《それはそうですね。巧くいけばこれほど強力なパートナーは居ませんが、又逆と言う場合もありますからね。

ライモン《僕にとっては、他人のほうが良いんですけれどね。遠慮無しに口うるさいですから.....母も煩いですけれど、エーデルも煩くて、もう音声多重でうるさいんですからね。それで僕はきっと具合が悪くなったんですよ。

リヴェール教授《Wahahaha、、、それはまぁ、今度から程々にしていただいてですな・笑

Dr.ターナー《たとえ愛情から出た言葉であっても、言われた方は傷つく場合もありますからね。彼は十分常識も心使いもありますから、少し自由にさせてあげないとですね。

休みの日も公務などがあるときがあると聞きましたが、そんな時は代休とか取って、十分に休まないと、再発するたびに、弱っていきますからね。

Dr.マリアンヌ《ちゃんと注意を守って、長期休暇の時にはお待ちしていますよ・笑　ライモンさんの悪友もきっと待っていますよ。

リヴェール教授《生活の仕方の注意を細かくしてあるんだよね？

Dr.ターナー《してありますよ。ちゃんとノートを取ってもらいましたから、絶対に要注意を守れば、かなり色々出来るはずですが、駄目なものは絶対に駄目です。

守るか守らないかで、次に此処へ来た時の過ごし方は全然違いますからね。開放感から、ガールフレンドとの付き合いは程々にだからね。

魅力的な女性と感じたら、見ない様にするんだな・笑

ライモン《Ahahaha、、、解りました注意します。どうせ今は誰もいないしね。

今はあの自転車がガールフレンドですよ。

まだ２回しか乗っていないから、今度来た時に沢山乗りますからね。絶対に生活の仕方は気をつけますよ。

リヴェール教授《只、病気は気をつけていても、悪くなる時もありますからね。

けして慌てずに、冷静に至急医者に連絡して、状況によってはドクターヘリが迎えにいきます。ヘリなら近い国ですからね。

Dr.ターナー《まぁ後数ヶ月で長期休暇でしょう？セージにMRSを忘れずに作るように言って置きますからね。彼のしているようなのが、良いのでしょう？

エーデル秘書《最新医療機器の？ですか？

リヴェール教授《はい、ご本人の希望がありましたからね。作らせますよ。

Dr.ターナー《見るからに医療用は、着けて居たくないそうですから、今回は何も無しと言う事です。では、又元気な顔をみせてください。

青い顔で現れないようにね。そんなんで入院したら、まぁ会員だからサイクルロードやサイクルクラブが、見える病室に入院できるようには、取り計らうよ。

ライモン《Dr.ターナーそれは、有り難い取り計りですね。

ブリテッシュ式のスパイスの効いたジョークですかね？目だけ会員参加ですか！　

絶対に僕は元気に療養に来ますから！　今回はありがとうございました。
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ライモン君は、誰にも計画を話してはいませんが、セージ君からのさりげない話から、帰国したら早速調べて準備する事があるのです。巧くいくか行かないかは、やってみなくてはわかりません。
そう言うところはセージ君はまず計画を立てたら、即調べ上げて実行ですから、駄目もとでやってみるのは悪くない事だと、入れ知恵されました。

事務的な事が多いので、ライモン君は苦手ではありません。エルダー君も、解る限りの知恵をかしてくれました。何となく巧くいくような気もしますが、帰国して調べないとなりません。

巧くいけば、理想的な立場でW・N・W国に入国出来るかもしれません。この不安定な世情だからこそ、巧く行くかもしれないのです。皆悪友ですね。