Cafeには常連さんも来るようになり、アルバイトで一緒に仕事をする仲間も増えて来て、順調にこの国の国民になってきました。
3年間の猶予があり、3年経ってもこの国で暮らせと決めた人が、本格的に手続き完了をして、正式な国民になれるのですが、Mrs.Sugarは当然気持ちは変わらずに、国籍も完全にこの国の国民になったのです。
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イリス《2人共、入学出来るとよいなぁ。希望専門分野は違うけれどさぁ~。お前急に此処の大学受験するなんて言うから、慌てちゃったよ。
あのままでいたら、普通に国立大学の、工学部かなんかに進学してただろう?セージは両親と同じ考古学とかさ...。
セージ《別に大学まで、一緒の所にする必要は無いんだぜ。イリスは国に帰って、スペインだって、良い大学があるだろう?
メィスは前から此処を狙っていたらしいけれどね。でも知らなかったよ。彼女は凄い頭が良いけれど、文系の大学かと思っていたし...。
まさかメィスが此処の大学受験は、俺は知らなかったよ。工学部だなんてね!まったく偶然だよ。
イリス《俺も姉弟でも、此処を受けるのは知らなかったよ。でも両親は、大学は本当は英国の大学卒業が欲しいから、俺達姉弟は後からの海外受験は大変だから、子供の時からロンドンで暮らしていたんだぜ。
丁度叔母が暮らして居たから、ナーサリーの時に預けられたんだよ。
セージ《お前さぁ、何も言われなかったのかい?元貴族の長男だろう? それになんだって、此処で一緒にアルバイトしたいって言うのは、どう言う事だよ。
まったく関係無いだろう?
Mrs.Sugarは”半日くらいなら、良いわよ“って言ってくれるかもだけれど、アルバイトって言っても、仕事なんだから、あれは嫌だとか、勝手な事は言うなよ。
得意でない事だって、やらなくてはならないんだよ。
イリス《だって、俺だって此処のCafeの雰囲気好きだし、お前と一緒にアルバイトは楽しそうだろう?
メィスだって、話したら”世間知らずなんだから、良い経験になるんじゃぁないの“って言っていたんだぜ。
セージだって、別にアルバイトしなくちゃぁならない理由など無いだろう?経済的に困って居る訳じゃぁないんだからさ。それどころか今の時期、勉強は大丈夫なのかい?
ポプリ《セージ君手が空いているなら、買い物頼んでよいかしら?このメモに書いてあるものを、至急買ってきて欲しいのよ。
届けてもらうほどの量ではないですし、早くに欲しいものなのよ。あらっ、お友達と何か用事だったのかしら?
セージ《いや、只話して居ただけです。別に大事な事話して居た訳ではないんです。自転車で直ぐに行ってきます。
イリス《あっ、俺も何時か此処で半日くらいアルバイトさせて欲しいって、Mrs.Sugarに頼んでもらえないかって言っているんです。
色々社会勉強もしたいので、アルバイト料は無くても良いんです。入学したらの話ですけれど...。
ポプリ《まずは入学したらの話ね・笑 でも、お金は働いたら貰わなくては駄目よ。仕事が無責任になってしまいますからね。
今からそんな話なの?それで、Sugarちゃんから、返事はもらったの?
セージ《いや、まだ何も聞いてもいませんしね。別にどうしても、人手が居るわけではないでしょう?
押しかけアルバイトですからね。話だけ聞いていたんです。これから試験受けるんですからね。
じゃぁすぐに行ってきます。イリスはもう帰れよ。もしくは学内の見学でもさせてもらえば?
それで来たんだろう?事務局に頼めば案内してくれるぜ。
ポプリ《気を付けてね。自転車飛ばし過ぎて、事故でも起こしたら大変ですからね。
Cafeの中は、セージ君がアルバイトに来ると、きちんと整理整頓されるのです。大らかで、のんびりしているようですが、言わなくても、手際よく片付けなどしてくれます。
ストーブやオーブンなども、手入れしてくれるのです。ミントさんに聞くと、家でもセージ君は、物つくりなど好きなので、散らかし魔でもあるようですが、自分で毎回整理もきちんとするのだそうです。
そうでないと、細かい模型の部品などが、無くなったりするからだそうで、手先も器用なので、子供の時から何度か両親は、遺跡調査の仕事場に連れていっていました。
出土した小さな部品の復元などは、子供であってもジグソーパズルも好きなセージ君ですから、上手に出来たそうです。
此処の大学に来てしまいましたが、両親は本当は片腕に、欲しかったのかもしれませんね。
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セージ君は気が狂うほど勉強に励み、此処の大学の医工学部を受験すると言う希望があるので、時間が足りないくらいですが、充実した日を送っています。
何故此処の大学受験かと言う理由は、意外と動機は他の人とは違い、ひとえにCafeのアルバイトしながら、大学に行くためです。
此処でアルバイトしていたら、大好きなMrs.Sugarと、楽しくお喋りが出来ると言うだけで、そう決まったら、ミントさん達にも堂々と公言して、呆れかえられているのです。
確かにここでアルバイトするには、此処の大学にでも入らないと、滞在する理由にはなりません。幾ら姉のミントさんがいても、理由なき長期滞在は認められない国でもあります。
3ヶ月位は、観光と言う事で、滞在できますが、観光するところなどは在りません。せいぜい短期講習会参加位の人だけでしょうか...。
何で入学したいか聞かれると、結構無邪気な顔してあっけらかーんと言うのですが、此処の大学の人達は馬鹿にしないで“そうか、実に明快な理由で宜しい。受かると良いな!”と言ってくれるのが、素敵なセンスです。
傲慢な人は皆無と言ってよい位な国民性で、セージ君も目標はごく身近な夢なので、実現しやすいと判断してくれるようです。
立派な志を言う人の方が、巧くいかなかったりすると、自滅して、途中挫折する場合が少なくないようです。国では優秀だった人も、此処に来たら只の学生で、更に出来る人がゴロゴロしているのです。
storyteller@Sugar