『2015年・秋』急遽帰国したセージ君

セージ君は今日は時間の都合を付けて、朝一便で急遽帰国しました。少し前から時間を作って、実家に取りに帰りたい物があったからです。

日帰り予定で、少し用足しもして、戻るつもりなのです。朝一に出て最終便で帰ってくれば忙しいけれど、日帰りで用足し位は出来るのです。もう暫く帰国はしていませんでした。
セージ君が大好きなNan（祖母）はもう９０歳を過ぎていますが、足腰が弱ってはいますが、とても元気です。
祖父は数年前に９０歳になる直前に亡くなりましたが、祖母が嘆き悲しんだのも時間の問題で、その後は家を守って、しっかりと本家の家長として守っています。セージ君曰く“魔女の様に、何でもお見通す力があり、まだまだ長生きすっると思う”なのです。

全くボケてもいませんし、夫婦仲良く今でもいちゃいちゃしている両親よりも、孫たちはNanに連絡を時々入れて居ます。仲が良いファミリーなのです。

セージ君は、余程の用事が無い限りは、まったく連絡はしていませんが、姉達が一部始終報告しているでしょうから、Nanは何でも知っていると思っています。今回も簡単に“日帰りで帰国する”とだけ連絡しました。

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Nan(Mrs.マーガレット)《セージ、元気そうね。忙しいようですけれど、結構充実した暮らしをしているようね？一人暮らしも楽しんでいるようね。

セージ《Nan、そうだよ。連絡しなかったけれど、僕の事はミント達から聞いているでしょう？Nanの様子も元気だって聞いていたからね。
Nan(Mrs.マーガレット)《えぇ、今ではミントだけではなく、マルベリーからも、よく電話がかかって来て、お喋りしていますからね。

セージも独立して一人暮らし初めて、アルバイトとかもして、とても忙しいようですけれど、自分で決めた事ですから、きっと楽しく過ごして居る事だと思っていたわ。

セージ《うん、一応入学出来たからね。今は本当にドロップアウトしないで、進学できるようにだよ。休みでもゼミ受けたり、勉強会に出席したり、後は自分で必要そうな勉強をしているんだ。

アルバイトが、気分転換になって、凄く良い調子なんだ。オーナーのSUGARMAMAが、とても良い人でね。手が空いた時に色々話をするのが、楽しい人なんだよ。

日本から移住してきたので、文化の違いなどが、信じられない位違っていてね！何だかどうでも良いような雑談なのに、とても楽しい気分になるし、素敵な人なんだよ。

Nan(Mrs.マーガレット)《それは良い出逢いをしましたね。ミントから聞いていましたよ。何時ものセージとは思えない位、楽しそうによくお喋りしているそうね。

まったく違う文化の国の人と話をするのは、大事なことよ。噂で聞いたり、本で知るのも良いですけれど、直接その国の人と話をするのは、多くを学ぶわね。　

他にも日本人の女性が、客人で居るんですってね？全然違うタイプの、日本人だそうなのが、又面白く興味深いでしょう？

セージ《うん、その人はSUGARMAMAとは、まったく同じ国の人とは思えない位に、真逆なパーソナリティでの人で、違う国の人みたいなんだよ。

でもどうもその人の方が、一般的な日本人らしい人のようなんだけれどね。僕には同国人みたいに感じるのは、SUGARMAMAなんだよ。食べ物の細かい好みまで同じなんだ。

あっ、それでね、今日は取りに帰ってきたのは、前にNanから代々受け継いだって言うダイヤのイヤリングセットもらったでしょう？
ホワイトダイヤとか言うので貴重なものだって...。あれ結構大きいダイヤだから、加工しても良いかなぁ～？作り変えたいんだよね。

仕舞って置いても、もったいないから使える物にしたいし...。今度学校でダンスパーティがあるんだけれど、その時にパートナーにイヤリングしてもらいたいって思うんだ。

俺用にはタイピンとカフスに加工して、使いたいんだよ。でもパートナーはまだ申し込んでも居ないので、OKしてもらえるかどうか判らないんだけれどね。

Nan(Mrs.マーガレット)《セージにあげたものですから、好きにして良いのよ。大きなダイヤで持って居た方が価値はあるんですけれど、眠らせていないで、使う方がダイヤも喜ぶかもしれないわね。

セージ《うん、僕もそう思ってね。でも貴重な物だって言うから、一応Nanには断っておきたいと思ったんだよ。

彼女がOKしてくれたら、何かの時のパートナーには、彼女になって欲しいと思っているんだけれど、ダイヤの加工をしてから、申し込もうと思っていたんだよ。良い返事がもらえたら良いんだけれどね。

あっ！でもガールフレンドではないんだよ。僕は全くガールフレンド作って居る暇は無いし、大学とアルバイトするだけで１日終わってしまうけれど、今まで感じた事が無いくらいに充実した暮らしをしているんだよ。

Nan(Mrs.マーガレット)《パートナーに選ぶ位、信頼できる人がいるのね。良い返事がもらえたら良いわね。私はセージが望むような、信頼できる人に出逢えたのが嬉しいわ。人の道に外れていないなら、巧く話が進むように応援しているわよ。

セージは間違った事はしないと、信じていますからね。きっと魅力的な人でしょう。

セージ《心配しないで、相手が居る人とつきあったりはしないよ。そうだよ、とても魅力的な人なんだ。じゃぁ僕この後加工してもらえるように、工房に頼んで帰るから...。出来たら取りに来るけれど、その時は此処には寄る時間は無いと思うんだ。

だから、Nanも元気でね。Cyu!!。

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セージ《ただいま。今日はアルバイト休んでしまってゴメンね。

SUGARMAMA《あらっ、早く戻って来られたのね？最終便って言っていたから、もっと遅くなるのかと思ったわ。でも無事に戻って来て...。

お婆様喜ばれたでしょう？セージは長男ですから、一番かわいい孫でしょうからね。

セージ《あのさぁ、SUGARMAMAに頼みたい事があるんだよね。今度ダンスパーティがあるでしょう？　今度だけではなく、たまにパーティ等があるらしいんだけれど、その時は俺のパートナーになって欲しいんだよね。もし嫌でなかったら....。

SUGARMAMA《私が？本気で言っているの？もちろん嫌ではないけれど、セージ若いんだから、若い女の子が沢山待って居るでしょう？　皆セージが誘ってくれるの期待して、待っているんじゃぁないのかしら？

イリス君が言っていたわよ。“セージは女の子が見ていても、目を合わせないで知らんぷりしているから、皆誘いそびれているんだよ。それにいつも一人で居ないで、誰か男の友達とかと一緒だからね”って！

ダンスパーティなんて、素敵な子との出会いのチャンスじゃぁない？

セージ《俺はOKしてくれたら、パートナーはMAMAって決めていたんだよ。一緒に居て楽しい人でなかったら、パートナーの申し込みはしたくないからね。

MAMAが嫌なら、俺はパーティには出ないつもりなんだ。大好きな人でないと、パートナーって言えないもの。俺の相手では嫌かなぁ？

SUGARMAMA《だからぁ、嫌では無いわよ。でもまさか思ってもいなかったので、ちょっと吃驚しただけよ。皆もびっくりすると思うわよ。

余りにも歳の差のあるパートナーですものね・笑　でも私で良ければ良いわよ。ガールフレンドが出来るまでの代役くらいOKよ。

セージ《よかったぁ～。嫌だって言われたら、俺やっぱり悲しいなぁ～って思っていたんだ。パーティは元々そんなに好きじゃぁないからね。

でもMAMAがOKしてくれたら、付き合いって事もあるから、出ようかな?って思ったんだ。良かったぁ～。ありがとう。それじゃぁ準備しなくっちゃぁ～。

SUGARMAMA《でも私教えてもらわないと、ダンス踊れないわよ。ディスコのダンスなら、大好きだったけれどね。

不思議なことに、ちゃんとした西洋式ダンスパーティの習慣は、日本にはないのよ。
一部の趣味の人だけが踊るのよ。

セージ《大丈夫だよ。教えるからさ。じゃぁ、空いた時間にレッスンしようね♪せっかくくつろいでいる夜に来ちゃって失礼！返事を早く聞きたかったからね。

じゃぁお休みなさい。

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SUGARMAMAが気軽に、パーティがある時はパートナーになってくれると言ってくれて、セージ君は嬉しくてウキウキです。

本当はパーティなどは、今一つ好みでは無くて、今までは長男としての義務で出席していただけです。美しく着飾って、華やかにダンスをしたり、軽くアルコールを飲んで、親交を深める場所でもあるのですが、あんまり興味はなかったのです。

大人達は、仕事に繋げたり、思春期になった子供を連れて来たりは、将来の結婚相手と巡り合わせたりと、大人の思惑も大いにあるものです。

早くからその様なパーティに連れて行き、パーティデビューさせて、マナーを身につけさせるのは、躾の一環でもあったのでしょう。セージ君と同年齢の男の子達は、それぞれグループを作って、バルコニーに集まってボーイズトークです。
同世代でも女の子たちは、早くも大人に混ざって、会場内でパーティに参加です。女性から声が掛かれば、若くても男の子達は、ご婦人達の相手をして、ダンスのパートナーとして、３曲くらいは踊るのです。

しかし、セージ君は此処の大学に進路を決めてからは、勉強魔に変身しましたし、長期休暇はCafeでアルバイトの暮らしを見つけてしまったのです。

女性とのお付き合い経験はありますが、自分からパートナーの申し込みをしたのは初めてです。それも大好きな人にOKしてもらって、人生、こんなに嬉しい事は無いと言う気分を味わったのです。

今はとりあえず、その後に色々なドラマが、始まるなんて思いもしませんでした。

　　　　　                                       storyteller🐑