教室での作業も落ち着いてきました。セージ君の開発したリハビリレギンスも一段落して、次の開発品のメデカルブレスレットがかなり出来上がってきました。
上級研究員や、リヴェール教授が次の開発品のブレスレットを注目しています。簡単なのは市販されていますが、セージ君のはとても成功に出来ています。
ブレスレット内には、はめて居る人の、メデカル情報が入っているのです。細かく心拍数や、血圧、血糖値はもちろんの事その他、ドックで何回か調べた通常の状態のデーターが入ってます。
登録してある提携病院では、病院のコンピューターで分かるようにも、なっている物を開発しています。提携病院なら、国外の病院でも、直ぐに患者の情報を見ることが出来る医療データーブレスレットなのです。
後は何か異常が有れば直ぐに本人にもわかる様にフラッシュが光る様にしようとしています。耳が遠くなった高齢者などにもわかるようにですし、振動して注意を促す機能を加える予定です。
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イリス《俺も手伝うから、詳しく教えてくれよ。何度か連絡が入っているし、資料もまだ途中だって言っているのに、持って行っているから、きっと忙しくなる
と思うぜ。
エルダー《そうだよな、これは本当の医療用のベルトだったら、少し量産出来るんだけれど、ブレスレット型は完全にハンドメイドだからね。
作るのには職人技が居ると思うよ。イリスは手仕事はあんまりやらないから、トレーニングして置くとよいかもね。
セージ《わかったよ。じゃぁ説明するから、ちょっと資料を読んで、理解をしておいてくれよ。判らないことはスルーしないで、ちゃんと聞いてくれよな。
その後は部品つくりを、少しづつ覚えてくれたら助かるよ。
エルダー《じゃぁ、俺は始めるよ。問題はエネルギーだよなぁ~。軽くて
小さくて、最大エネルギーが大きい装置を考えなくちゃぁな。
今はベアリングを使ってみているんだけれどね。何か他にもあると思うんだ。
セージ《手間はかかるけれど、なるべく手動で作る事考えないと、どんなに環
境に良いからって、便利な物を安く量産したら、作るためのエネルギーを使って、CO2を排出したら意味ないしね。廃棄物がなるべく出ない様な物を作らないとね。
イリス《此処の国は地熱とソーラや、後は階段やジョギングコースや廊下やで
発電しているんだろう?そうそう、シェルター内も充実させているんだってね。
セージ《あのさぁ、お前物凄く難しい事知っているのに、現実にこの国はどう工夫して、暮らしているかとか具体的には知らないんじゃぁないの?聞いた話や読んだ資料などは丸暗記して、感動はするけれど、そこで終わりで、実際はどうなっているか理解しているのかい?
イリス《だからさぁ、教授は希望としては、半世紀位過去に戻ったくらい、アナログな暮らしに戻したいんだろう?
それと予定よりも早くに、シェルター暮らしになるかもって、言われているようだよね。大体ヨーロッパは、アメリカや日本みたいに、ハイテクな暮らししていないから、そんなに大変じゃぁないよね。
でも研究員は最先端も開発はして、知って置かないとなんだろう。
エルダー《おぅ、大体は解ってはいるんだ。後は具体的にどんなシステム
使って色々維持しているか、説明できるくらい理解しておかないとだよね。
セージ《此処に書いてある俺のスケッチが、ブレスレットの中だよ。何か判ら
ないことが有ったら、中途半端にしないで、わかるまで聞いてくれよ。
間違ったら大変だからね。細かい仕事だから、巧く休憩も入れてやってくれよ。ピンセットは倉庫からセットのを持ってくると良いよ。アイルーペもね。
イリス《まずはどう言うシステムになっているか、資料をしっかり読んで、照
らし合わせてみるよ。俺はセージみたいに、勘が良くないからね。
全然閃かない質だからさ、教わったことを暗記して、そのまんまそっくりとやるのは、出来るんだけれどさ。
エルダーみたいに、やっていて自分もアイディアが浮かんで、提案したりは期待しないでくれよ。
ピンセットのセットとアイルーペは後で持ってきておくよ。でも俺はお前達みたいに器用じゃぁ無いからさぁ。巧く出来るかどうかだよ。
エルダー《そういうイリスみたいな、暗記マシーンみたいな人材も、必要なんだよ。俺みたいに時々、寄り道して自分ならこうしてみたら?とか思って、指示書を勝手にアレンジしてみたりするのは、余計な考えだったりもあるんだよ。
結局はセージが考えた物の方が、実用化しやすかったりね。俺は余りコストとかまで考えなかったりするからね。
それに出来るとか出来ないは無いぜ。最初は皆出来ないんだから、根気よく続けたから出来る様になるんだからね。ま性格的に向き不向きはあるけれどね。
セージ《やっぱりさ、使う方からしたら、いくら金持ちだったとしても、コス
トは抑えられた方が、安くなって沢山の人が、利用出来るだろう?
此処の患者だけなら、皆豊かな暮らしをしているかもしれないけれど、提携病院にレンタルするなら、必ずしも豊かな人ばかりではないだろうしな。
開発者としては、多くの人の役にたつものが開発出来たら、一番嬉しいだろう?
イリス《セージはさぁ、まだ若いし、家柄も良い家の出なのに、そういう事まで考えるのが、偉いよな。普通自分が生活に困っていなければ、値段の事まで考えないぜ。
エルダー《実際はイリスの方が、本当に国に帰れば貴族様なのかもしれない
けれど、正直言うとセージの家の方がワンランク上なんだよ。
それぞれの国の国民性もあるかもだけれど、セージは15歳くらいから、財産分与されて、自分の領土みたいなものがあったから、児童福祉みたいなことまで関わっていたから、貧しい家の事も知っていたんだろう。
そう教育もされていただろうしね。里親探しとか、何だか修道院から連絡が来たりしていたんだろう?
セージ《あぁ、俺は養護院の子供も最低の教育まで、受けさせる義務があるとって思っていたからね。
例外もあるけれど、学校の勉強だけでなく、教養を身につけさせないと、家庭環境が悪い子供は、犯罪など悪い方に進んでいってしまうからね。
だから、考える力は身に着けてから、養護院を出る時は、しっかりした大人になっていて欲しいと思っていたんだよ。
俺自身は勉強好きでもないけれど、多少は勉強をしたのさ。小さい時から爺さんに聞いていたからね。
イリス《15~6歳の時からって、自分よりも年上の養護院生もいたんだろう?お前がまだ未成年だったんだからさ。
今だってまだ飲酒出来る年齢じゃぁ無いだろう?俺全然側に居たのに、セージがそんな事やっていたの、知らなかったよ。
大体、セージだって此処に始めて立ち寄った頃で、結構まだ遊んでいただろう?
セージ《此処に立ち寄った時まではね。此処でアルバイトしてから、俺は脱皮
したんだよ。1泊で帰国予定が、夏休み中滞在したから、アルバイト以外の時間に、此処の学生たちの様子を見たり、Sugarと話したりしたからね。
考えたら不思議な出逢いだったね。直ぐに帰って、グライダーに乗る予定だったんだぜ。それが生まれて初めてのアルバイトって言うのをやって、Cafeで過ごしたら、凄く楽しくてさ、結局延長して夏休みが終わるギリギリまで居たんだよなぁ。
本当に不思議だよ。あれって言うのが、一目惚れ?とはね。全然イメージしていたのとは違うんだよなぁ。初めて経験した気持ちだったんだ。
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そんなお喋りもしながら、エルダー君やセージ君は手だけは、無駄なく動かして作業は進めているのでした。イリス君は集中しだすと、無言で資料など読んで、スケッチを見たりして、今日の仕事は終わりそうです。
どうやらターナー教室は、暫くはこのままこの感じで、小物の研究開発をするチームになりそうです。
storyteller🐑